こんなはずじゃなかった!死亡保険金がもらえない!?

親や配偶者(パートナー)が生命保険をいろいろかけてるようだけれど、入ってそのままほったらかしているみたい。
何もしなくて大丈夫なのかしら?実際相続が始まったときに死亡保険金をちゃんともらえるのかしら・・・?と、ふと不安に思ったことはありませんか?
そのように不安を抱いたあなたは正しいです。
でも、何を確認すればよいのかわからない、と思ったのではありませんか?
ずばり言いましょう。
相続トラブルを回避する面から確認しないといけないのは「受取人」です。
相続のときにトラブルにならないようにするためには「受取人」が誰になっているのかきちんと確認しておきましょう。
今回は、受取人の設定が適切でないとどんなことがおきるのか、また誰にしておくべきなのかをお伝えします。

1.死亡保険金の受取人になれる人は誰?

そもそも死亡保険金の受取人になれるのはどの範囲の人なのでしょうか。
まずは受取人になれる人を説明したいと思います。
死亡保険金の受取人は原則として、被保険者の2親等以内の血族(血のつながりがある親族)です。

親族図

図で色がついている人たちが死亡保険金の受取人になれる人たちになります。
では、2親等以内の血族以外の人たちが死亡保険金の受取人になることは全くできないのでしょうか。
実はそうではありません。
条件がつきますが、契約内容が契約者=被保険者で死亡保険金受取人が①~③のいずれか であれば、受取人になることができます。
①2親等以内の血族以外の親族
②内縁の配偶者・同性のパートナー
③婚約者
以下、条件について説明します。

<2親等以内の血族以外の親族>
条件は、
・被保険者に戸籍上の配偶者、または2親等以内の血族がいない
・被保険者と生活的、経済的に結びつきがある
です。

<内縁の配偶者・同性のパートナー>
条件は、
・3年以上同居している事実上の夫婦であること
・被保険者・死亡保険金受取人の双方に戸籍上の配偶者がいないこと
です。

<婚約者>
条件は
・6か月以内に入籍予定であること
です。
なんと、条件を満たしていれば婚約者も受取人になれるのです。

ただし、それぞれ条件に合っていることを証明するものを提出することが各保険会社から要求されます。

2.妻子が保険金を受け取れない?― 若いときに入った保険

では、受取人を確認(見直し)しておかなかった場合に起こるトラブルをお伝えしていきます。
職場などで勧誘を受けるなどして、就職後間もない時期から生命保険に入っている人は、意外といらっしゃるのではないでしょうか。
この場合、契約者=本人、被保険者=本人、死亡保険金=本人の父、というように死亡保険金の受取人を自分の親にしているパターンが多いと思われます。
その後、結婚したときに、受取人を見直さないでそのまま放っておいていませんか?
そのまま受取人を見直さずに放っておくと、万一病気や事故で亡くなった場合、保険契約者の配偶者や子は死亡保険金を受け取ることができない可能性があります。
例を挙げましょう。
図の親族関係図をご覧ください。

家族図

結婚して妻との間に子二人を授かりました。結婚前に生命保険に入り、受取人を「父」にしたまま見直さずにいたとします。
その後、不幸にして両親より先に事故又は病気で本人が亡くなってしまいました。 この場合、死亡保険金を受け取れるのは誰でしょうか?
通常の遺産であれば相続人は妻と子二人になるはずですよね?
ところが、保険金は通常の遺産とは扱いが違うのです。
保険金は「遺産」ではなく、保険金受取人の「固有の権利」なので、契約で受取人となっている人しか受け取れないのです。
したがって、図の例の場合、この場合、契約どおり受取人は「父」。なんと、妻子が受け取れないのです。
理由があって、「万一のときにはどうしても親にあげたい。」というのでなければ受取人を配偶者や子に変えておきましょう。

3.再婚前に入った保険の受取人は?

離婚して再婚したときも、保険内容の確認は必要です。
最初の結婚をしたときに、妻(前妻)を保険金の受取人にしてあったとします。
例えば契約内容が、契約者=本人、被保険者=本人、死亡保険金受取人=妻(前妻)という状態だったとします。
その後離婚し、再婚をしたものの、保険契約を見直さずそのままにしておいたとします。
この状態で本人が亡くなると、受取人は誰になるでしょうか?

家族図

通常の相続であれば、離婚した前妻には遺産が渡ることはありませんよね?
ところが、再婚後に受取人を今の妻に変更しないと、受取人は前妻になってしまうのです。
今の妻でなく、別れた前妻に保険金をあげるつもりでいるのならかまいませんが、そういうつもりがないのなら、今のうちに受取人を変えておきましょう。

4.高齢の親が掛けている保険

寿命が延びている昨今、高齢の両親が掛けている保険も両親が元気なうちに保険金の受取人を確認しておくことが大切です。
両親が掛けている保険の死亡保険金の受取人が父、もしくは母になっていませんか?
両親の一方が亡くなって、もう一方の親が受取人になっていたとしましょう。
このときに受取人となっている親が重度の認知症になっていた場合には大変です。まず保険金の請求書類を書くことができません。
保険の請求を子が代理でやるとしても親が委任状を書くこともできませんよね。
良くないことですが、保険会社に内緒で請求書類や委任状を代筆してなんとか請求ができたとしても、保険金は受取人本人の口座、つまり親の口座に振り込まれますよね?
となると、保険金が受け取れたとしても、親の口座の暗証番号を知らない限り、子が親の代わりに保険金をおろすことができない、つまり保険金を親のために使うこともできない、ということになってしまいます。
こういう事態にならないために、親が元気なうちに話し合って、受取人を子に変えてもらうようにしておきたいですね。
親が受取人を配偶者にしているのは、自分の死後、配偶者の生活を守るためのはずですから、話し合いの際に、受取人は子に変えてもらうけれど、この保険金は子が使うのではなく「お母さん(もしくはお父さん)のために使う。」ときちんと伝えて約束したうえで受取人を変えてくださいね。

5.受取人が死亡していた場合の受取人と受取割合はどうなる?

さて、契約書に書かれていた受取人が万一死亡していた場合には、受取人は誰になるのでしょうか。
この場合、受取人は、保険金の受取人の相続人になります。
相続人が一人ならいいのですが、たいていの場合は複数の相続人がいるかと思います。
ここで、生命保険は普通の遺産とちょっと違うところがあるのでお伝えします。
例をあげます。
契約者=父  被保険者=父 死亡保険金受取人=母(父より先に死亡)

家族図

母の死亡時に受取人を変更しておかず、夫も父より先に死亡していた場合の受取人と受取割合はどうなるでしょうか?
まず、この場合の受取人は弟と子A、子Bになります(母の相続人は、子である弟と孫である子A、子B)。
通常の遺産相続の法定割合であれば、弟2分の1、子A4分の1、子B4分の1です。
ところが、保険金受取人が保険事故発生の前に死亡したときは、その相続人全員が保険金受取人となり保険の約款に特別な規定がない限り、その保険金受取人の法定相続人が均分で取得することになります。
つまり、受取割合は、弟3分の1、子A3分の1、子B3分の1となるのです。

<保険金の受取人が複数の場合のトラブル>

今回の例のように受取人が複数いる場合、受取人全員が同意しないと、死亡保険金を支払ってくれない保険会社が多いようです。
また、どうにか全員が同意することにこぎつけたとしたとしても、受取人それぞれに保険金を振り込む、ということをしてくれない保険会社もあります。
保険金を受け取る代表者を一人決めるよう言ってくる保険会社にあたってしまって、受取人同士の仲が悪かったら・・・もう想像がつきますよね?
保険契約書を確認して受取人が死亡していることに気が付いたら、速やかに受取人を変更する手続をしておきましょう。

6.まとめ

以上、今回は保険金の受取人を確認しておかないと起こるトラブルについてお伝えしました。
受取人が誰になっているかの確認はすぐにできることですので、ほったらかしにしている人は是非確認してみてください。
親や配偶者がほったらかしにしている場合には、相続のときにトラブルが起きるのは困るから、と上記の例も伝えて保険証券を見せてもらって一緒に確認してくださいね。