遺言書の付言事項について

「付言事項」とは、遺言書に書かれる法的な意味のある内容(遺言事項)以外の事項です。

つまり、付言事項には法律的な効力はありません。しかしながら、まったく書く必要のないものではありません。

例えば、相続人に長男と長女の二人がいて、お母さんが、長女に多く財産を残す内容の遺言書に書いたとしましょう。財産の分け方しか書いてない遺言書を見て、長男はどう思うでしょう?不公平だと感じませんかね?
実は、お母さんがこのような遺言書を書いたのにはきちんと理由があります。結婚後、長男と長女はお互いの家が遠く離れていたこともあって、お互いの家の事情もよく知りません。長男は実家にあまり帰ることはありませんでしたが、長女はたびたび実家を訪れ、足の悪くなったお母さんの面倒を見ていました。また、長女の子(つまり孫)のうちの一人が難病を抱えていて経済的にも苦しい状況でした。つまり、お母さんには長女に対する感謝と孫のことを考えて多めに財産を残した、という意図がありました。
しかし、長男はそんな事情は知りませんから「不公平だ!」と言って兄妹間で揉めてしまいました。お母さんが、「こういう理由で長女に多めに残します。長男には申し訳ないけれど、けっして差別しているわけではないのです。今後も兄妹仲良く暮らしてください。」とでも書いていたら長男も納得したのではないでしょうか。

付言事項には、相続人や関係者への感謝を明らかにしたり、遺言の趣旨を補足して、遺言の内容を誤解のないように伝える、という役割があるのです。


逆に、付言事項で特定の相続人の悪口などは書かないようにしましょう。遺言書の内容を実現するためには、相続人の間で争いが起きてしまっては困りますよね。