新型コロナウイルスの影響で相続手続はどうなる?

相続手続には期限が区切られているものがありますよね。
例えば、相続税の申告期限は、相続開始から10か月以内。
相続放棄は相続が開始したことを知ってから3か月以内。

とはいえ、新型コロナウイルスのため、相続手続を進めたくても思うように進められない、と困っている方も多いのではないでしょうか。
この点について、各機関が何か方針を出しているのか調べてみました。

法務省

法務省はこのようなお知らせを出していました。

親族が亡くなったにもかかわらず,新型コロナウイルス感染症の影響により熟慮期間(相続の承認又は放棄をすべき期間)内に相続の承認又は放棄をすることができない場合には,この期間を延長するため,家庭裁判所に申立てをすることができます。
引用元:新型コロナウイルス感染症に関連して,相続放棄等の熟慮期間の延長を希望する方へ

この制度は、もともと、プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いのか、亡くなった方の財産を把握することが、3か月以内(相続放棄、限定承認の期限内)に難しい場合に、単純に相続するのか、放棄するのか、プラスの財産を限度としてマイナスの財産も相続するのか、を考える期間を延長させてもらうものです。

今回、この制度を「新型コロナウイルス」を理由としても使えるようです。
ただし、家庭裁判所へ熟慮期間の延長を申立てが必要になりますので、延長したい場合には忘れずに申立てをしてくださいね

国税庁

国税庁の方には、このようなお知らせが出ていました。

準確定申告

問4.《いわゆる「死亡による準確定申告」の期限延長の可否》 確定申告書を提出すべき方が死亡した場合の確定申告(いわゆる「死亡による準確 定申告」)などについて、申告・納付の期限が延長されますか。

〇 期限延長の対象となる手続には、いわゆる「死亡による準確定申告」における申告・ 納付が含まれます。

※ 期限延長の対象となる準確定申告は、令和2年2月 27 日(木)から同年4月 15 日(水)までの間 に期限が到来するものです。
引用元:申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ

死亡による準確定申告は、死亡後4か月が申告期限です。
こちらについては期限が延長されるようです。

準確定申告は、亡くなった方の確定申告と納税を相続人が代わりに行う手続です。
1月1日から死亡した日までの所得金額や税額を計算して申告・納税します。
公的年金以外に20万円以上の収入があった場合には必要になってきます。

相続税


問5.《相続税の申告において相続人の一人が感染した場合の取扱い》 相続税の申告期限が1週間後に到来しますが、相続人の一人が新型コロナウイルス 感染症に感染した場合、申告はどうすればいいですか。

〇 新型コロナウイルス感染症に感染したことなどにより、相続税の申告期限までに申告 できない場合については、個別の申請により、申告期限等が延長される場合があります ので、状況が落ち着いた後、所轄の税務署へご相談ください。

〇 なお、個別の申請により申告期限等が延長されるのは申請を行った方のみとなり、 他の相続人等の申告期限等は延長されませんのでご注意ください。

引用元:申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ

現時点では、以上のとおりとなっているようです。

何か新しい情報が入りましたら、またお知らせしていきたいと思います。

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