遺産の分割の方法には、現物分割、代償分割、換価分割の3つの方法があります。
今回は、そのうち「代償分割」について説明したいと思います。
代償分割とは?
代償分割とは、遺産の現物を取得した相続人が、その代償となる財産を他の相続人に渡す、という遺産の分割方法です。
遺産が現金・預貯金だけであれば、分けるのは簡単です。
しかし、遺産の中には、不動産や車など、そのもの(現物)を分けることが難しいものもありますよね。
もちろん、売却してお金に換え、売却で得られたお金を分ける(換価分割)という方法を取ることもできます。
しかし、全員が遺産を売却することに賛成しなければ、売却代金で分ける、といった分け方をすることはできません。
例えば、
・実家で親と長女一家が同居していた
・実家が農家で、長男が親と農業を営んでいた
・実家の一階で、二男が親とラーメン店を経営していた
といったような場合、実家や田畑、店舗などを売却されてしまっては困る相続人が出てきます。
とは言え、遺産の中に預貯金がほとんどない場合は、そのものしか分けるものがありませんよね。
「売って分けるのは困る」かと言って「遺産を貰えないのは不満」。
このような場合に検討するのが「代償分割」なのです。
代償財産は現金以外でもOK!
現物をもらった相続人が他の相続人に渡す代償財産は、ほとんどの場合、現金です。
現金は、自分の手持ちのお金の中から用意する、もしくは親の死亡時に別途受取った死亡保険金から用意する、いずれでもかまいません。
また、代償財産を受取る相続人が了承すれば、不動産や株式などを代わりに渡してもOKです。
このとき遺産分割協議書には、代償分割をした旨と、その内容を具体的に記載することを忘れないようにしましょう。
代償分割した場合の税金はどうなる?
代償財産を交付した相続人の相続税の課税価格は、「取得した遺産の評価額から代償交付した財産の額を控除した額」になります。
受取った代償財産は「相続税」の対象となります。
注意点は、相続人自身(代償財産を交付する相続人)が元々所有している土地や株式等を代償財産で交付した場合は時価で譲渡したことになり、譲渡所得税の対象となってしまうことです。
それを考えると、代償財産はお金で渡すのがやはり一番良い方法かと思います。