子の妻は相続人になるのか、ならないのか?代襲相続と数次相続の違い

「夫の相続と夫の父の相続と、二つの相続手続をしなければならなくなったのだけれど、私は相続人になるのかしら・・・?」
一人が亡くなって、その相続手続が終わらないうちに、もう一人が亡くなってしまった。
こういうケースも意外とよくあります。

さて、その場合、相続人は誰になるのか。
代襲相続なのか、数次相続なのかで、相続人が誰になるか変わってきます。

「代襲相続?」「数次相続?」
言葉だけではよく分かりませんよね。
簡単に一言で言ってしまうと、死亡する順番で相続人が変わってくるのですが・・・。

今回は、長男の妻の立場から、この代襲相続と数次相続において相続人がどう変わってくるかを説明したいと思います。
相続される人は長男の「父」です。

代襲相続の場合

下の図を見てください。
亡くなった人は長男と父です。
日付をよく見てください。
長男が父より先に亡くなっています。
この場合、「父」の相続人は、母、二男、長女と長男の子二人になります。


子Aと子Bは、「代襲相続人」と呼ばれます。
父より先に亡くなった長男の代わりに、子Aと子Bが相続人になるのです。
長男の妻は、「父」の相続人になりません。

数次相続の場合

第一の相続手続が終わらないうちに第二の相続が発生してしまうと数次相続になります。
今回は、父が先に亡くなり、その後まもなく長男が亡くなっています。

ではこの場合の「父」の相続人は誰になるでしょう?
ちょっと考えてみてください。

わかりましたか?
結果は下記の図のとおりです。

今回は、長男の妻は相続人になります。

ちょっと混乱しませんか?
「どういうこと?」と思いませんでしたか。

このような場合には順番に分けて考えるとわかりやすくなります。
第一の相続は父の相続です。


令和2年12月30日の時点では長男はまだ生きています。
ですから、父の相続人は、母、長男、二男、長女です。

第二の相続は長男の相続です。

長男の相続人は、妻、子A、子Bです。

図を見てお分かりいただけたでしょうか?
数次相続では、第一の相続と第二の相続が合体したような恰好になるわけです。
ですから、この場合は長男の妻も父の相続人となるのです。

長男が一日でも遅く父より亡くなれば、この数次相続です。
父と長男が同じ日に亡くなったとしても、長男の方が父より数時間後に亡くなったことが明らかであれば、この数次相続になります。

何らかの事情で相続手続ができなかった、もしくはほったらかして二次相続どころか、三次相続、四次相続になったとしても、考え方は同じです。

「今回の相続は私は相続人なのかしら?」
「今回は代襲相続なのか、数次相続なのか?」
迷ったら、亡くなった人双方の日付を戸籍謄本などで、誰が先に亡くなったのかよく確認してくださいね。

 

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