相続税額を計算する場合の相続財産の評価方法

「もしかしたら相続税がかかるかもしれない・・・」
相続税がかかるかどうかを確認するには、遺産がいくらあるのか、計算することが必要になってきます。

しかしながら、相続する財産には色々なものがありますよね。
現金・預貯金は、財布の中や通帳を見ればわかりますが、それ以外の財産はどう価値を計算すればよいのでしょうか?

今回は、相続税額を計算する場合の相続財産の評価方法について、ざっと一通りご紹介したいと思います。

先に大事なことをお伝えしますが、相続税を計算する基準日は、原則として本人が「亡くなった日」です。
遺産分割協議をした日でも、相続税を申告する日でもありませんので、ご注意ください。

では、以下に各財産の評価方法を示していきたいと思います。

【現金】財布やタンス、手提げ金庫などに残っていた額

【預貯金】通帳の残高

普通預金だけでなく、定期預金などもありますよね。
利息もついてきますから、正確な額を把握するには、金融機関に、本人が亡くなった日付けで残高証明書を出してもらって確認しましょう。

【土地】路線価又は倍率方式

市街地にある宅地は、路線価で計算することが多いです。
郊外は倍率方式で計算することが多いです。
路線価も倍率表も国税庁のホームぺージで確認することができます。
遺産となる土地が、路線価で計算するのか、倍率で計算するのかどうかも同様に確認できます。

路線価方式の評価額の計算方法:路線価×面積
倍率方式の評価額の計算方法:固定資産税評価額×倍率

固定資産税評価額は、毎年6月に市町村から送付される納税通知書で確認ができます。
市町村役場で固定資産税評価証明書を取得することでも確認ができます。

【建物】固定資産税評価額
毎年6月に市町村から送付される納税通知書で確認ができます。
市町村役場で固定資産税評価証明書を取得することでも確認ができます。

【貸宅地】自用地評価額×(1-借地権割合)
貸宅地とは、地代をもらって人に貸している宅地のことです。
自用地とは、他人が使用する権利の無い土地の事です。
つまり、自分だけで自由に使える土地の事です。
借地権割合は、路線価図で確認できます。

【借地権】自用地評価額×借地権割合
借地権とは、建物の所有を目的として地主から土地を借りて使用する権利のことです。
要するに、地代を払って土地を借り、その上に家を建てて住んでいる人の権利です。

貸宅地=地主側、借地権=宅地を借りている側です。
つまり貸宅地と借地権を合計すると自用地評価100%になります。

【貸家】固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
借家権割合は全国一律30%です。
賃貸割合は、部屋数に対して何部屋埋まっているかで決まります。
誰も借りている人がいなければ、賃貸割合は「0」です。

【上場株式】
①本人が亡くなった日の終値
②本人が亡くなった月の終値の月平均額
③本人が亡くなった前月の終値の月平均額
④本人が亡くなった前々月の終値の月平均額
以上、①~④のうち、最も低い株価で評価します。
証券会社にお願いすれば、これらの計算書は出してもらえます。

【取引相場のない株式(自社株など)】
会社の規模、株主の態様などにより、次のような方式で評価します。
①類似業種比準方式
②純資産価格方式
③①と②の併用方式
④配当還元方式

もし、亡くなった人が、親戚などが経営している上場していない会社の株式を持っていた場合には、素人では計算が難しいので、速やかに税理士さんに相談しましょう。

【宝石・貴金属】本人が亡くなった日の取引価格
貴金属地銀については亡くなった日の取引相場価格を確認しましょう。
宝石については専門家に鑑定してもらいましょう。

【書画・骨董】本人が亡くなった日の取引価格
こちらも専門家に鑑定してもらいましょう。

【ゴルフ会員権】本人が亡くなった日の取引額の7割
預託金(入会時に払う保証金の一種)がある場合には、その額を加えます。

【車】本人が亡くなった日の取引価格
中古車買取会社のホームぺージなどで、同じ車種、型式、年数、走行距離など、同等の車を探し、その価格を参考にしましょう。

【家具】相続開始時に同程度のものを入手するためにかかる額
高価なものがなければ、十万円~数十万円程度の範囲で申告書に記入

【電話加入権】本人が亡くなった日の取引価格

【仏壇・墓地】非課税なので評価額の計算は不要

【死亡保険金】死亡保険金額
まずは保険証券など契約の内容が記載されている書類を確認しましょう。
保険会社から死亡保険金が振り込まれるのと前後して、振込通知書も届くかと思いますので、そちらも確認しましょう。
※相続税の基礎控除とは別に、500万円×法定相続人の人数の非課税枠あり

【死亡退職金】死亡退職金額
死亡退職金がある場合には、会社から届いた書類を確認しましょう。
※相続税の基礎控除とは別に、500万円×法定相続人の人数の非課税枠あり

【借入金】残高
書類を探したが見つからない、ローンがあといくら残っているかわからない、という場合はこちらも金融機関に確認しましょう。

以上、今回は、相続税を計算するときの、相続財産の評価方法についてご紹介しました。
ものによっては、税理士でないと正確な計算が難しいものがあります。
例えば自宅の土地も、必ずしも真四角の土地とは限りませんよね。
三角形だったり、変形の激しい土地などについては、計算の補正があります。
「ちょっとこれは計算が難しいぞ」
と思われた場合には、迷わず税理士さんにご相談くださいね。

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