遺産分割協議書の作成方法 ― 相続人が集まれない場合

遺産分割協議書を作成する場合、通常は1通の遺産分割協議書に相続人全員が署名・押印して作成します。

ところが相続人の数が多い、遠方各地に散らばって住んでいる、海外在住の相続人がいる、といった場合、相続人全員が一堂に会して遺産分割協議書に署名・押印をするというのは難しいですよね。
もちろん、わざわざ全員が一か所に集まらなくても、遺産分割協議書を郵便で送って署名・押印をしたら次の相続人に郵送して、署名・押印してもらって次の相続人へ郵送・・・という方法でも問題はありません。

が、相続人が多い場合、順番に押していくと最後の人に署名・押印してもらうまでに日数が大分かかってしまいますね。
順番に送っている間に、誰かのところで止まってしまったり、紛失してしまう可能性もあります。
そうなれば、また一人目から送ってやり直しをしなくてはならなくなります。

いつまでたっても相続手続が進まない、という困ったことになってしまうことも。

そこで、1通の遺産分割協議書に相続人全員に署名・押印をもらうのが難しい、という場合には、相続人ごとに遺産分割協議書を作成しましょう。

どういうことかというと、まずすべて内容が同じ遺産分割協議書を相続人の人数分作ります。
相続人が10人いたら10通作ります。
そして各相続人に1通ずつ送って、署名・押印してもらいます。
遺産分割協議書に押す印鑑は実印(印鑑登録証明書に登録してある印鑑)です。

1人分の署名・押印をもらった遺産分割協議書を相続人全員から集めます。
印鑑登録証明書も遺産分割協議書と共に送ってもらいます。

相続人全員分の遺産分割協議書と印鑑登録証明書を集め、それを持って銀行の手続や不動産の登記手続に使用するのです。

表題は、1枚の遺産分割協議書を作成するときと同様、「遺産分割協議書」としましょう。
「遺産分割協議証明書」と書くよう案内している書籍もありますが、実際の手続では「遺産分割協議書」とした方が、銀行での手続は通りやすいようです。
遺産分割協議書に書く日付は、各相続人が署名・押印した日を書けばよいので、申し合わせて全員で同じ日付を書く必要はありません。
遺産分割協議書に、誤字脱字など誤りがあった場合には、すべての遺産分割協議書を同じように訂正します。
訂正印は、各自、自分が署名・押印した遺産分割協議書だけに押します。

以上、今回は相続人が集まれない場合の遺産分割協議書の作成方法についてご案内しました。
1通の遺産分割協議書に署名・押印をしてもらうのが難しい、と言う場合は、是非上記の方法で遺産分割協議書の作成・とりまとめをしてみてくださいね。

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