「認知症になってしまい、後見人が必要。だけどひと月に数万円の報酬を後見人に払うだけのお金はとてもない・・・」
成年後見制度を使うのを躊躇する理由の一つが、法定後見で弁護士などの専門職が後見人に就いた場合の報酬の支払いです。
後見が必要な人の財産の額に応じて、一カ月あたりに要求される後見人の報酬は2万円~6万円と幅がありますが、2万円だとしても1年で24万円。
既に生活保護で生活している人、生活保護まではいかなくても収入も預貯金額も少ない人にとっては、払うに払えないですよね。
では、このような人たちは成年後見制度を利用することができないのでしょうか?
大丈夫です。
このような人たちも、成年後見制度はちゃんと利用できます。
各市町村において、「成年後見制度利用支援事業」を行っているからです。
成年後見制度利用支援事業とは?
成年後見制度利用支援事業とは、成年後見制度の利用が必要であるけれども、身寄りがなく申立てを行うことが困難な場合に市町村長が成年後見の申立てを行ったり、本人等の財産状況から申立費用や後見人等報酬を負担することが困難な場合に、これらの費用を自治体が支給することで、成年後見制度の利用を促進するものです。
つまり、成年後見の申立て費用が捻出できなかったり、後見人等の報酬を払えるだけのお金が無い場合には、各市町村から援助を受けられるのです。
(ただし、報酬全額ではなく、不足する分を補う形での援助)
ただし、本人の預貯金が100万円以下、120万円以下しかないこと、など、各市町村により資産要件は異なります。
助成される上限額も自治体によって異なりますので、支援を受けたい場合には、各市町村役場で確認しましょう。
本人が自宅で暮らしているのか、施設で暮らしているのかでも助成金の上限額が変わってきます。
また、後見人が本人の四親等以外の親族だと、後見人の報酬について助成を受けられないことが多いようです。
生活保護の人は?
生活保護の人も上記の助成の対象です。
つまり、生活保護費から後見人の報酬が支給される(援助される)のではありません。
各自治体の要件に従って、それに当てはまれば助成を受けられます。
各地域の家庭裁判所により多少対応は異なるようですが、あまりに資産が少ない人の場合、成年後見の申立てがあると、自治体に対し後見が必要な本人について報酬の援助が受けられるかどうか確認をするそうです。
援助が受けられる、受けられるとしてどの程度、などの状況を確認して、市区町村と協力して後見人の報酬を決めたりなど、配慮もしてくれるそうです。
ただし、報酬援助の申請は、後見人が市区町村に申請をしなければなりません。
成年後見の申立て費用及び後見人等の報酬の援助の制度があると知って、少しは安心していただけたでしょうか?
「後見制度を使いたいけれど、報酬を払うだけのお金が無いかもしれない」
そう思った場合には、援助が受けられそうかどうか、是非市町村役場の高齢福祉課などに一度ご相談してみてください。