公正証書遺言の証人になれる人・なれない人

公正証書遺言の作成は、単に遺言を作成したい本人が、一人で公証役場に行ってもできません。
遺言書の作成にあたっては、証人2人の立会いが必要です。

さて、この証人は誰でもよいのでしょうか?
今回はこの点について説明をします。

証人になれない人

公正証書遺言の証人になれない人は、以下の人たちです。
①未成年者
②推定相続人(将来相続人となる可能性のある人)
③受遺者(遺言で財産の贈与を受ける人)
④推定相続人や受遺者の配偶者及び直系血族
⑤公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

①未成年者は、十分な判断能力がないため、証人としては不適切とされています。

②、③、の推定相続人や受遺者は、遺言を書く本人にとっては直接利害関係があります。
④の推定相続人・受遺者の配偶者や親、子、孫といった人たちも遺言を書く本人に近く、利害関係があります。
利害関係のある人が遺言作成に関わっていると「遺言者本人が本当に自分の意思でそのような内容の遺言を書いたのか」、「自分に有利なように書かせたのではないか」、という疑念が相続人間・親族間に生じてしまいますよね。
つまり、遺言の公正さが保てないため、証人にはなれません。

⑤の公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人は、公証人の関係者です。
公証人の関係者が証人になると、公証人に対するチェック機能が働かなくなってしまうため、公証人の関係者も証人となれません。

証人になれる人

公正証書遺言の証人になれる人は、一言で言うと、「遺言を書く人にとって利害関係のない赤の他人」です。
極端なことを言うと、たまたま居酒屋などで知り合った人に「今度遺言を書くから証人になってくれない?」と頼んでもよい、ということです。

しかしながら実際には、
①遺言作成の相談又は文案作成を依頼した、行政書士、司法書士、弁護士といった専門家
②古くから知っている友人、知人

③公証役場で探してもらった人
のいずれかに証人となってくれるよう頼みます。

証人になってもらう、ということは、その人に遺言の中身を知られるわけですから、遺言の中身を言いふらすような人には頼めませんよね。
そのようなわけで遺言の中身を秘密として黙っていてくれる、信頼できる相手を証人に選ぶ、ということになります。

原則としては、遺言を書く人本人が、証人となってくれる人を選び、遺言書作成日に公証役場まで同行してもらいます。
しかし、①、②のような人がいない、探せない場合には、公証役場にあらかじめ頼んでおけば、公証役場で適当な証人を用意してくれます。

①の専門家、③の公証役場で用意してくれた人に対しては、証人として立ち会った費用を支払う必要があります。
②の友人・知人に対しては求められない限り費用を支払う必要はありませんが、時間を割いて平日に公証役場まで来てもらうわけですから、いくらかお礼をした方が無難かと思います。

証人の情報は事前に公証役場に伝える

証人を誰にお願いするか決まったら、証人の情報を公証役場に伝える必要があります。
具体的には、公証人から証人2人の住所、氏名、生年月日、職業を尋ねられます。
なぜなら、どのような人が証人として作成に立ち会ったのか、証人の情報が公正証書遺言に書き込まれるからです。
そのため、証人についても事前に運転免許証などの本人確認書類の提出が求められます。

遺言書作成日当日の証人の持ち物は?

遺言作成日当日、証人が持っていくものは2つです。

①印鑑
②本人確認書類

遺言者本人は、当日実印を持参しますが、証人2人が持参する印鑑は、認印でも問題ありません
証人の本人確認書類については、事前にコピーなどを提出してあります。
しかし、当日改めて証人本人を前に、公証人が本人であることを確認することがあるので、証人も本人確認書類も持参しましょう。

証人は当日何をする?

当日、証人は、公証役場に行って、公証人と遺言者が遺言を作成するところを単に眺めていればよい、というわけではありません。

公証人は、遺言者に対して意思を確認、作成した遺言書を読み上げて、間違いがないことの確認を遺言者本人に取ります。
証人二人も、一緒に遺言書謄本を見ながら、遺言者の意思や公正証書遺言の内容に間違いがないことを確認します。
確認ができたら、遺言者本人に続いて、証人二人も遺言書の原本に署名・押印をします
こうして公正に遺言が作成されたことの証人となります。

以上、今回は、公正証書遺言の証人について説明をしました。
証人になれるのは「遺言を書く人にとって利害関係が無い人」とは言え、やはり信頼のおける人、自力で自分の名前が書ける人、であることが条件になります。
遺言書に名前や住所、職業が書き込まれますから、「それはちょっと・・・」と証人になることを躊躇される方も中にはいます。
「友人・知人に証人を頼もうかな」、と考えている方は、本人確認書類の提出が必要であること、住所・氏名の情報が遺言にのる、ということも伝えたうえで、証人となることをお願いしてくださいね。

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