相続登記義務化などの施行期日について

令和元年から2年にかけて民法の大改正がありましたね。

これに引き続き、所有者が不明な土地の発生予防と利用の円滑化の両面から、総合的に民亊基本法制が見直されました。
改正法は令和3年4月21日に成立しましたが、成立当時、各改正法の施行日は決まっておりませんでした。

このほど令和3年12月に施行日が決まりましたので、各施行日と簡単な概要を、お知らせします。

令和5年4月1日施行

令和5年4月1日に施行されるのは、
①財産管理制度の見直し
②共有制度の見直し
③相隣関係規定の見直し
④相続制度の見直し
です。

①財産管理制度の見直しの具体的な内容は、大きく分けて
・土地・建物管理制度の創設
・既存の財産管理制度の見直し
の2つです。
具体的には、所有者不明土地・建物管理制度を創設、相続人不存在の相続財産の清算手続の見直しなどがされています。

②共有制度の見直しの具体的な内容は、こちらも大きく分けて
・共有物の利用促進
・共有関係の解消促進
の2つです。
具体的には、所在等不明共有者がいる場合の共有物の変更・管理の見直し、不動産の持分の取得や譲渡に関する改正がされています。

③相隣関係規定の見直しは、具体的には、越境した竹木の枝の切取りについてなどについて改正されています。

④相続制度の見直しは、遺産分割に関する改正です。
これまで、遺産分割協議には期限はありませんでしたが、施行後は10年の期限が設けられます。
これに関連して、相続開始後長期間が経過し、相続人の所在が不明な場合の不動産の遺産共有持分の取得方法等の合理化などもされます。

令和5年4月27日施行

令和5年4月27日に施行されるのは、
・相続土地国庫帰属制度の創設
です。

どういう制度なのかというと、相続等により土地の所有権を取得した人が、法務大臣の承認を受ければ、その土地の所有権を国庫に帰属させることができる、というものです。
つまり、国にいらない土地を引き取ってもらうことができるようになる、というわけです。
ただし、無条件で引き取ってもらえるようになるわけではありません。

施行日前に相続が開始したものについても引取りの申請は可能です。

H令和6年4月1日施行

令和6年4月1日に施行されるのは、
・相続登記の申請義務化
です。

多くの方が一番関心を持たれているのは、この相続登記の義務化ではないでしょうか。

施行後は、相続開始から3年以内に相続登記をすることが義務となります。
登記をしないと、10万円以下の過料が科せられます。

施行日前に相続が発生している場合も、この改正の対象となりますので、ご注意ください。

それぞれの詳しい改正内容については、後日改めて記事を追加していきますね。

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