近年は、ネットで証券口座を開設し、株式等の取引をする人も多いですね。
ところが、家族に情報を伝えずに本人が亡くなってしまうと、相続手続をするにあたり、どこの証券会社と取引していたのか詳しい情報が分からず途方に暮れてしまうことがあります。
それどころか証券会社と取引をしていたかどうかすら、知らない・わからないこともありますよね。
そこで今回は、「証券口座の探し方」について説明したいと思います。
まずは郵便物をチェック
まずは家の中に、何らかの郵便物が残っていないか探してみましょう。
ネットで証券口座を開いた場合でも、口座開設時には証券会社から開設のための書類が届くので、その時の資料が残っている可能性があります。
口座の開設書類などが見つからなくても、株式の取引をしていたのであれば、株主総会や配当金が支払われる時期に、定時株主総会招集通知や配当金計算書などの書類が郵送で届いているはずです。
これらの郵便物が見つかれば、少なくとも株の取引を行っていたことがわかります。
見つかった書類や郵便物などから証券会社が特定できれば、その証券会社に連絡を入れて相続手続を行います。
証券保管振替機構に開示請求する
家の中などを一通り探したけれども、やはり何も手掛かりが見つからない。
そのような場合には、証券保管振替機構(ほふり)に開示請求をしましょう。
開示請求をすることで、亡くなった人がどこの証券会社に口座を開設していたかを確認することができます。
ちなみに開示請求は有料です。
確認できる情報は?
確認できる情報は、上場されている株式等の口座が開設されている証券会社、信託銀行等です。
ただし、株式の銘柄や保有残高までは確認できません。
非上場の株式等の口座が開設されている証券会社等については確認できません。
開示請求の流れは?
開示請求の流れは下記のとおりです。
①まずは、証券保管振替機構のホームページから開示請求書をダウンロードします。
プリンターを持っていないなど、請求書をダウンロードできない場合は、証券保管振替機構に直接電話をすれば様式を郵送してもらえます。
②開示請求書に記入をし、所定の必要書類を揃えたら、証券保管振替機構の開示請求事務センター宛に郵送します。
③必要書類の不備や不足が無ければ、開示結果(登録済加入者情報通知書)が送られてきます。
開示結果は、郵便局の代金引換サービスで送られてきます。
開示費用の支払いと引き換えに開示結果を受領します。
必要書類は?
必要書類は、
①請求者の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
②法定相続情報一覧図または請求者と亡くなった人(株主)の関係がわかる戸籍謄本
③亡くなった人(株主)の住所を証明できるもの(戸籍の附票など)
④請求者の印鑑登録証明書(発行から6か月以内のもの)
です。
開示請求できる人は、法定相続人です。
法定相続人が未成年者などである場合は法定代理人が開示請求できます。
また、法定相続人から委任を受けた任意代理人も開示請求をすることができます。
法定代理人や任意代理人が開示請求をする場合には、①~④の書類の他、代理人の本人確認書類や委任状なども必要になります。
提出した戸籍謄本等の原本は、証券保管振替機構でコピーを取ったあと、開示請求結果と一緒に返還してもらえます。
開示費用は?
開示請求をするには、1件につき6,050円(税込)かかります。
戸籍謄本の代わりに法定相続情報一覧図を提出した場合は、4,950円(税込)と、1,100円お得になります。
支払は、開示結果が郵送されてきたときに代金引換払いをします。
開示請求をしてから、開示結果が届くまでにはおおよそ2週間かかります。
開示結果を見て、どこの証券会社・信託銀行に口座を保有していたかわかったら、改めてその証券会社・信託銀行に連絡を入れ、相続手続を進めます。
以上、今回は、証券口座の探し方・証券保管振替機構への開示請求についてご紹介しました。
遺産の情報がわからないと、どのような遺産でも、まず調査に時間と費用がかかります。
近年はネット上だけで完結して、亡くなった家族がどのような遺産を持っていたか知らないことはよくあります。
「本人から聞いてないし、株の取引等はやっていないだろう」と思っていたら、後から判明して遺産分割協議のやり直し・相続税の申告漏れ、という事態に陥ることもありえます。
相続が開始したときには、今回紹介したような開示請求の制度もうまく利用して、念入りに調査をしてくださいね。