特定生産緑地について

今年は令和4年、すなわち2022年ですね。
生産緑地をお持ちの方で、生産緑地としての税制特例を受け続けたい場合は、今年、特定生産緑地に指定する手続きをする必要があります。
(一部の方は今年中にしなくてもよい可能性はあります。)

市によっては、担当部署から生産緑地を所有している人に向けて、手続をするか否かの案内を送っています。
既に昨年までに、案内を送っているところもあります。
ここでは、「親が生産緑地を持っているけれど、どうしたのかな?」「生産緑地って聞くけれどよくわからないんだよね」という方に向けて特定生産緑地についての説明をしたいと思います。

生産緑地とは?

まずは、生産緑地について説明します。
「生産緑地」とは、市街化区域内にある農地等で法律に定められた条件を満たし、生産緑地地区に指定された土地や森林を言います。

つまり、生産緑地は市街化区域にしか存在しません。
市街化区域内に農地等を持っていない方には、今回の生産緑地の話は関係ありません。

生産緑地制度は、都市農地の計画的な保全を図るために設けられた制度です。

生産緑地法は1974年(昭和49年)に制定され、1991年(平成3年)に改正されました。
この改正を受けて、三大都市圏の市街化区域内に農地を有している人は、生産緑地の指定を受けるか受けないかの選択を迫られました。
現在指定されている生産緑地は、この改正を受けて、1992年(平成4年)に指定を受けたものが多いです。

生産緑地に指定された土地は、建物の建築等の行為が制限されています。
この制限解除がされない限り、農地以外に転用することもできません。

その代わり、固定資産税の評価は農地評価、課税も農地課税とされ、土地の所有者が支払う税金は低く抑えられています

2022年問題って?

生産緑地は、指定から30年を経過すると、市に買取りの申し出が可能となります。

いまある生産緑地のほとんどが1992年(平成4年)に生産緑地の指定を受けたため、30年目にあたる2022年(令和4年)は節目の年にあたるのです。

買取りの申出をして、市町村等に買い取られなかった土地は、建築等の行為制限が解除され、開発可能な土地となります。
これにより、都市の農地が単に無くなるというだけでなく、地価の暴落や無秩序な開発などの問題が起きかねないと懸念されました。
これが2022年問題です。

この問題の解決に向けて、2018年(平成30年)4月1日に特定生産緑地制度が施行されました。

特定生産緑地制度とは

特定生産緑地制度とは、近く申し出基準日を迎える生産緑地について、10年間申出基準日を延長し、その間、税制のメリットなど従前の生産緑地と同様の適用が受けられる制度です。

特定生産緑地の指定を受けたい場合は、生産緑地の申出基準日が到来する前に市に申請して、指定を受ける必要があります。
では、特定生産緑地に指定するメリットとデメリットはどのようなものなのか、次に説明したいと思います。

特定生産緑地に指定するメリットは

特定生産緑地に指定した場合、固定資産税・都市計画税は、引き続き農地評価・農地課税です。
つまり、毎年払う税金を低く抑えられます。

また、相続税の納税猶予が受けられます。
相続が発生し、次世代に農地を引き継ぐ際は、相続人が相続税の納税猶予を受けて営農を継続するか、買取りの申し出をするかを選択できるのです。
ちなみに次世代の人(相続人)が第三者に農地を貸しても、相続税の納税猶予が継続します。

デメリットは?

従前の生産緑地と同様、建物を建築したり、宅地などへの転用はできません。

特定生産緑地の申請をしなかった場合はどうなる?

申出基準日までに特定生産緑地の申請をしなかった場合でも、自動的に生産緑地指定が解除されるわけではありません。
特定生産緑地の申請をしなかった以上、特定生産緑地にはなりませんが、生産緑地の状態が継続します。
したがって、引続き農地としての管理義務が生じ、建築等の行為の規制が残ります

生産緑地を宅地等に転用したい場合には、市に買取りの申出を行い、行為制限の解除を受ける必要があります。
申出基準日を過ぎた後も、この買取申出は、いつでもすることが可能です。

一方、固定資産税・都市計画税は、宅地並み課税となります。
いきなりは税金は上がりませんが、5年かけて徐々に宅地並み課税となります。

相続税等については、現在納税猶予を受けている人に限り、猶予は継続されます。
が、相続が発生して次世代に農地を引き継ぐ際には納税猶予が適用されません。

また、納税猶予を受けている生産緑地について買取りの申出を行って宅地等へ転用する場合は、相続税及び利子税の支払が必要となります。

期限後の特定生産緑地指定はできる?

申出基準日後の特定生産緑地指定はできません。
現在の生産緑地の多くは1992年(平成4年)に指定されているため、2022年(令和4年)に申出基準日が到来します。

「うちはいつ指定だったっけ?」
「親が生産緑地持ってるけど、指定日知らないな。」

と指定日を把握していない方は、まず確認してください。
指定日がわかったら、市町村での申請受付の最終期限を確認してください。

指定日が1992年(令和4年)であって、特定生産緑地の指定を希望している、という場合には速やかに市町村に申請しましょう。

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