その断捨離ちょっと待った

生前に身の回りを整理しておこう、という人も最近増えていますね。
断捨離やミニマリストという言葉も流行りましたし。
年を取ると片付けるのが大変になりますから早めに整理するのは大変良いことです。が、断捨離関連の本を見て、ちらっと気になったことがあるので、ここに書きます。

古い通帳は捨てないでください!(ある本では「捨てる」リストに含まれていたので危険だと思いました。)

なぜ捨ててはいけないと言うのかと言いますと、まず、銀行に取引履歴を出してもらえるのが現在から原則10年前までのものだからです。また、取引履歴の手数料が意外とお金がかかります。手数料は1枚いくらのところ、1か月あたりいくらのところ、と銀行によってもまちまちですが、仮に1か月あたりで取られるところだと12か月×10年分取られてしまうことになります。

~古い通帳が残っていれば・・・と思う場面~
①相続
相続税の申告で必要なのは相続発生前3年だから、そんな古い履歴が無くても問題無いと思うかもしれませんが、遺産分割のときは問題になります。相続が円満に済めば問題はありません。が、あなたが亡くなったときに、特定のお子さん(相続人)が生前贈与を受けている、と言われる可能性はないですか?特別受益(生前贈与、つまり遺産の前渡し)があると3年よりもっと前に遡り、その分も含めて遺産分割します。相続人間で揉めていたら何年遡って分割の対象に含めろ、と言ってくるかわかりません。特定のお子さんが、昔家を建てたときに親(あなた)からお金を貰ったのではないかと言われたけれど、実はそんな事実はなかったかもしれませんね。逆に、何等かの理由があって特定のお子さんに昔お金をあげてしまったから、相続のときは平等になるように、お金をあげなかった子に多く相続させてあげようと思って手を打っておいたのに、先に貰った子がその事実を隠してしまうこともありますね。
相続の場合は、相続人となるお子様たちのために、通帳は捨てないで取っておきましょう。

②離婚事件
離婚事件につきものなのが財産分与。それぞれが結婚前に蓄えていた預貯金は財産分与の対象には含まれません。ところが、私が弁護士事務所に勤めていた時の事件なのですが、古い通帳を捨ててしまっていた男性がいました。結婚が10年以上前だったので、取引履歴はゆうちょ銀行から出してもらえませんでした。そのため、独身時代に貯めていた分を証明することができず、その分を財産分与から差し引いてもらうことができませんでした。

以上のように、もう使わないし、と思っても古い通帳が必要な場面はあるのです。自分が裁判沙汰に巻き込まれるとは思っていなくても、何かあったときに証拠となりうる大事なものはきちんと取っておきたいですね。