お墓や仏壇などの祭祀財産には、原則として相続税はかかりません。
ただし、祭祀財産であれば絶対に税金がかからない、というわけではありません。
今回は、注意するべきケースについて説明したいと思います。
①仏壇や仏具が、信仰の対象とは言えない骨董品や趣向品である
例えば、純金製の仏像や仏具が、これに該当する可能性があります。
祭祀財産には相続税がかからないから、とやたらに凝った美術品としての価値があるような仏壇やら高価な仏具を買っておくと、死後、それに相続税が課せられてしまう可能性があるのです。
②故人が生きている間に購入した墓地や仏壇の代金について未払いの債務がある。
自分が亡くなったときのために、お墓を買っておくことがありますよね。
この墓地や墓石等の費用の代金を分割で支払っている途中で亡くなってしまった場合、未払いの代金は、相続税を課税される財産から控除されません。
通常の債務、借金などは相続税を課税される財産から控除される(差し引いてもらえる)のですが、この未払い分については控除されないのです。
ややこしいですね。
③「自分の死後、このお金でお墓を買って、そこに入れてほしい」と、他の預貯金などと区別して、墓地費用を残す。
これも、このお金に対して相続税が課税されます。
「墓地代だ」と主張しても、現実に残っているものがお金なので課税されてしまうのです。
「現実にお墓が無いのだし、お墓が無ければ納骨できないし、葬式費用に含まれるのでは?」
と考える人もいるかと思いますが、相続税を課税される財産から費用を差し引いてもらえないのです。
以上を表にまとめると、下記のようになります。
相続前に購入 相続前に支払済み | 相続前に購入 相続後に支払い | 相続後に購入 相続後に支払 | |
お墓や仏壇そのもの | 相続税非課税 | 相続税非課税 | ― |
支払債務 | - | 相続財産から 控除されない | 相続財産から 控除されない |
死亡する前に買って、支払いも済ませてあれば、まるまる非課税になるのですが、そうでなければ控除できない、ということがお分かりいただけたでしょうか。
結局、対策としては、お墓や仏壇が必要であるとわかっているのであれば、早め早めに買っておく、ということになりますね。