今回は、「遺言執行者は、法定相続情報一覧図の申出人になれるのか」について説明します。
法定相続情報一覧図を作成できれば、相続手続のためにいちいち大量の戸籍謄本を窓口に持って行く必要が無くなりますし、銀行などの手続をする側も戸籍謄本を一つ一つチェックする手間が省けますから楽ですよね。
法定相続情報一覧図を作成するには、法務局に作成の申し出をする必要があります。
では、どのような人たちが作成の申し出ができるのでしょうか。
作成の申し出ができる人
まず、法定相続情報一覧図の申出人となれるのは、「被相続人の相続人」に限られています。
そして、申出人の代理人となれる人は、
①法定代理人
②民法上の親族
③資格者代理人
です。
(②、③は任意代理人となります。)
法定代理人とは
①の法定代理人とは、
・親権者
・未成年後見人
・成年後見人
・代理権付与のある保佐人・補助人
・不在者財産管理人
・相続財産管理人
です。
相続人が未成年者だったり、判断能力が低下している人だったりした場合には、自分で申し出するのが困難であるため、法定代理人が相続人の代わりにできる、というわけです。
民法上の親族とは
②の民法上の親族とは、
配偶者、6親等内の血族、三親等内の姻族
を指します。
相続人から委任状をもらえば、親族も申出人の代理人となれます。
この際、相続人の親族であることがわかる戸籍謄本の提出も、法務局から求められます。
資格者代理人とは
③の資格者代理人は、
弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士
に限られます。
相続人が仕事で忙しく申し出の手続ができない、などと言った場合には、上記の資格者代理人に手続を委任することができます。
手続を依頼する相続人は、委任状を代理人に渡す必要があります。
では遺言執行者は?
法定相続情報証明制度ができた当初は、遺言執行者はこの申出人の代理人となれる人の中に含まれていませんでした。
しかし、遺言執行者は遺言の内容を実現するために相続の手続を行う人です。
遺言執行者が申出人の代理人となれないのは、やはり手続を進めるうえで不便ですよね。
そのため、現在は遺言執行者も申出人の代理人となることができるようになりました。
(※あくまで「代理人」です。申出人そのものにはなれないのでご注意ください。)
ただし、手続にあたっては遺言執行者であることを証明できる書類の提出が必要です。
具体的には「遺言書」ということになります。
家庭裁判所で選任された遺言執行者であれば、「選任審判書謄本」、ということになります。