相続をした不動産の中に森林があった場合、森林の土地の所有者届出書を出す必要があります。
こちらも忘れてはいけない届出になりますが、ご存知ない方が多いので、今回ご紹介したいと思います。
森林の土地の所有者届出制度とは
森林の土地の所有者届出制度は、森林の土地の所有者の把握を進めるため、平成24年4月から創設されました。
この制度が創設されたのは、森林の所有者がわからないと
①行政が森林所有者に対して助言等ができない
②事業体が間伐等をする場合に所有者に働きかけて森林を集約し効率を上げられない
という事情があったためです。
届出が必要な場合は?
相続の他、売買、贈与、法人の合併などによって、森林の土地を新たに取得した場合に森林の所有者の届出が必要です。
この届出は、森林を取得したのが個人でも法人であってもしなければなりません。
また、取得した面積が小さくても届出をする必要があります。
届出の期限は?
届出の期限は、森林の土地の所有者となった日から90日以内です。
では、相続の場合はどうなるでしょうか。
90日の期限は、相続の場合も変わりません。
森林の土地を持っていた人が亡くなると、土地は一旦、法定相続人全員の「共有物」となります。
一旦は相続人全員の共有になっても、森林の土地も、遺産分割協議で相続人の誰かが取得することになります。
とは言え遺言でもない限り、被相続人の死後90日以内に誰が取得するのか決まることは、まずありませんよね。
そのため、遺言が無い場合、
①法定相続人の共有物として、被相続人の死亡日から90日以内に届出をする。
②遺産分割協議がまとまったら、遺産分割協議がまとまった日から90日以内に森林の土地を取得した相続人が届出をする。
という、2回の届出が必要になります。
届出先など
届出先は、森林の土地がある市町村になります。
届出書の様式は、市町村役場でも入手できますし、林野庁のホームページからもダウンロードできます。
届出書に添付する書類は、
①その森林の土地の位置を示す図面
②その森林の土地の登記事項証明書、または遺産分割協議書とその目録など、土地の権利を取得したことがわかる書類
です。
土地の位置を示す図面は、任意の図面に大まかな位置を記入すればよいようです。
遺産分割協議でなく、遺言で取得したのであれば、遺言書を添付します。
相続登記をすれば届出は必要ない?
不動産を相続したら、相続登記は必ずやりますよね。
そこで、
「森林をもらったけど、相続登記をしたから、もう役所は誰が所有者かわかってるよね」
と考えてしまいますが、登記をしたとしても、別途、森林の土地の所有者の届出をする必要があります。
登記を行った場合にこの届出を不要とする措置は定められていませんので、ご注意ください。
届出を忘れたら?
届出をしない、または虚偽の届出をしたときは10万円以下の過料が科されることがあります。
届出を忘れると危険、というわけです。
まとめ
以上、今回は森林の土地の所有者届出制度についてご紹介しました。
期限は、被相続人の死後90日以内、遺産分割協議から90日以内です。
もし遺産の中に森林があった場合には、こちらの届出もお忘れのないよう、お気をつけください。