相続した空き家を売却した場合の3000万円の譲渡所得の特別控除の特例を受けるときの必要書類の一つに、「被相続人居住用家屋等確認書」というものがあります。
今回は、この確認書の申請手続について説明します。
申請できる人
被相続人居住用家屋等確認書の申請ができる人は、空き家の譲渡所得3000万円の特別控除の特例を受けようとする相続人本人です。
空き家が複数の相続人の共有名義の場合は、その相続人ごとに申請書を作成する必要があります。
代理人に申請してもらう場合には、委任状及び代理人の身分証明書が必要になります。
申請先
申請先は、被相続人の居住用家屋等が存在する市区町村役場です。
窓口は各市区町村で異なりますが、建築課、建築指導課、都市計画課などと言ったところになります。
窓口に、直接申請書類を持参することも郵送で提出することもできます。
直接持参する場合は、本人確認ができる身分証明書の提示が求められます。
郵送で申請する場合には、切手を貼った返信用封筒を同封します。
返信用封筒で送られてくる書類は、①申請書兼確認書と②被相続人居住用家屋等確認書の交付のための提出書類の確認表です。
必要書類
申請書に添付する必要書類は、①家屋を耐震改修して、土地及び家屋を譲渡する場合と、②家屋を取壊して更地にして譲渡する場合とで異なります。
おおよその市区町村では以下のような書類の提出を求めてきます。
家屋を耐震改修して、土地及び家屋を譲渡する場合
①被相続人の住民票の除票
②被相続人の家屋等を相続した相続人全員の住民票
※相続人の住所が当該家屋の所在地となっている場合は、この特例制度を受けることができません。
③家屋またはその敷地等の売買契約書
④空き家であることを確認できる書類として、アかイのいずれか
ア 電気、水道またはガスの使用中止日が確認できる書類
イ 仲介業者による広告
※相続人と売却する家屋の媒介契約を締結した宅地建物取引業者が、当該家屋の現況が空き家であることを表示して広告していることを証明できるもの
被相続人が老人ホームに入っていた場合は、①~④に加えて、
⑤介護保険の被保険者証の写し又は障害者総合支援法の障害福祉サービス受給者証の写し
⑥老人ホーム等への入所時における契約書の写し
⑦老人ホーム等が保有する外出、外泊等の記録
が必要になります。
家屋を取壊して更地にして譲渡する場合
①被相続人の住民票の除票
②被相続人の家屋等を相続した相続人全員の住民票
※相続人の住所が当該家屋の所在地となっている場合は、この特例制度を受けることができません。
③土地の売買契約書
※家屋の除去工事を敷地等の買主が行う内容の売買契約書であると、この特例制度を受けることができません。
④閉鎖事項証明書
⑤空き家であることを確認できる書類として、アかイのいずれか
ア 電気、水道またはガスの使用中止日が確認できる書類
イ 仲介業者による広告
⑥更地の写真(日付の入ったもの)
被相続人が老人ホームに入っていた場合は、①~⑥に加えて、
⑦介護保険の被保険者証の写し又は障害者総合支援法の障害福祉サービス受給者証の写し
⑧老人ホーム等への入所時における契約書の写し
⑨老人ホーム等が保有する外出、外泊等の記録
が必要になります。
市区町村により、除票や住民票が原本でないと受け付けないところと、コピーでも可とするところがありますので、事前に確認をしましょう。
また、上記の他、土地・建物の全部事項証明書の写しを要求する所、家屋取壊し前の写真を要求する所、家屋の除去工事に係る請負契約書の写しを要求するところなど、市区町村によっては追加で要求されるものがありますので注意が必要です。
申請から交付までにかかる期間は?
申請書の提出から確認書の交付までおおよそ1週間から10日程度かかります。
不備の訂正や追加書類の提出を求められた場合にはさらに日数がかかることがあります。
税務署での確定申告手続に間に合うよう、申請する場合には余裕をもって準備をすることをお勧めします。
まとめ
以上、被相続人居住用家屋等確認書の申請について、一通りご説明しました。
用意する必要書類が多いな、と感じられた方が多いのではないでしょうか。
市区町村によっては、要求される書類が多少異なる場合があります。
また、それぞれの書類における細かい要件も、市区町村により多少異なるところがある場合があります。
ですので、空き家の特別控除の特例を受けようと考えた場合には、家屋の売却、取壊しをする前に、被相続人の家屋がある市区町村が出している案内を確認して準備をしましょう。
なお、ご自身で申請に行けない・申請書の作成が難しい、といった場合には、この確認書の申請の手続代行は行政書士に依頼することが可能です。
当事務所でも承っています。