資金の負担割合に応じた持分登記をしてますか?

今回は、相談を受けていて気になったことについて記事を書きたいと思います。

夫婦または親子で共同で資金を出して自宅を新築・購入することはよくありますよね。

さて、自宅の登記をする際、その出した資金の割合に応じて登記を入れているでしょうか?
単独所有の登記をしたのであれば、出してもらった資金について贈与税の申告はしているでしょうか?

当事務所には様々なお悩みをお持ちの方が来られますが、相談に来られる方の中に
「お金は出したけれど、私の分は登記を入れてもらわなかったんです。」
とおっしゃる方が時折いらっしゃいます。
このようなことを言い出すのは、たいていお母様や奥様でした。
息子さんや夫の単独名義にしてしまったのですね。

このような話をお聞きするのは、
「息子夫婦と同居するから家を買うお金を出してあげたのに、関係が悪くなって追い出された。」
といったようなトラブルが発生したときが多いです。

「出してあげた分を取り返したいんです。でも、あげた証拠は残ってません。」

このように訴えられても残念ながら当事務所は行政書士事務所ですので、紛争案件には関われません。
「弁護士にご相談ください。」
と言うほかありません。
(とは言っても、証拠がなければ弁護士も動けません。)

別の記事でも書きましたが、贈与が終わってしまったものに関し、取り返すのは至難の業です。

その前に、この記事をご覧になっているあなたは、共同でお金を出して不動産を取得しながら、夫や息子など誰か一人のものということで登記をしようとしていないでしょうか?
これまで相談を受ける中で、このようなことをされている方は他にもいらっしゃるのではないのかなと思いました。

そもそも夫婦や親子でそれぞれ資金を負担して自宅を買った、新築したというのであれば、その資金負担割合に応じた持分登記をする必要があります。

もちろん、不動産を共有にすると後々不都合が発生することが多いですから、どちらか一方に単独所有の登記をしてもかまいません。
その場合は、登記で単独所有者となった人は、資金を援助してもらったわけですから、贈与契約書を作成し、贈与税の申告をする必要があります。

親子間・夫婦間で紛争が勃発するかは別にして、その前に資金の出資関係をきちんとしておかないと、ある日突然、税務署からお尋ねが来る可能性もあります。
税務署から必ずお尋ねが来るとは限りませんけれども、見つからなければセーフというものでもありません。

後々のことも考えて、面倒くさがらずに、お金のことはその都度きちんとしておきましょう。

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