さて、今年も確定申告の時期が迫ってきましたね。
この時期になると、相続手続を終えたお客様から思い出したように聞かれる質問があります。
「遺産をもらったから、今年は確定申告しないといけないのかしら?」
この質問は、遺産が相続税の基礎控除以下、つまり相続税の申告をする必要がなかった方から、されることが多いように感じます。
先に答えを言います。
確定申告をする必要はありません。
確定申告は「所得」の申告をするものです。
所得にあたるものは、例えば、勤務先からもらった給料、アパート・マンションを経営して得た賃料、株式投資をして得た配当などです。
ちなみに所得は以下の10種類に分類されています。
①利子所得
②配当所得
③不動産所得
④事業所得
⑤給与所得
⑥退職所得
⑦山林所得
⑧譲渡所得
⑨一時所得
⑩雑所得
遺産でもらった財産は、これら10種類のどれにも該当しません。
遺産分割で家や畑、山林をもらったとしても不動産所得や山林所得には該当しません。
つまり、遺産でもらった財産は所得にはあたらないのです。
遺産をもらったらしないといけない税金の申告は所得税の申告ではなく、あくまで「相続税の申告」です。
所得税と相続税では、申告時期も異なります。
所得税の申告時期は、毎年2月16日から3月15日です。
相続税の申告期限は、被相続人(遺産を残した人)の死亡を知ったとき(死亡日)から10か月以内です。
このように所得税の申告と相続税の申告は全くの別物なのです。
遺産総額が基礎控除額以下で相続税の申告の必要が無かった方は、確定申告の心配もする必要はないのです。