任意後見契約を誰かと結びたいと考えた場合、どんな人であれば受任者(任意後見人)として契約を結ぶことができるのでしょうか。
基本的なことですが、今回は、そもそも任意後見について全くご存知ない方のために説明したいと思います。
任意後見人になれる人
任意後見人(受任者)の資格には格別の制限はありません。
受任者を誰にするかは、本人が自由に決めることができます。
つまり、自分の子や親族も受任者として契約を結ぶことが可能です。
また、法人を受任者に選んで契約を結ぶことも可能です。
自分の判断能力が低下したときに、この人なら自分の代わりに、自分の財産の管理や介護・医療契約を頼める、信頼できると感じられる相手であれば、誰とでも契約を結ぶことができるのです。
ただし、任意後見受任者に不適任な事由がある場合は、任意後見契約の効力を生じさせることができません。
任意後見契約は、自分の判断能力が低下し、任意後見人を監督する「任意後見監督人」が家庭裁判所で選任されたときから、効力が生じます。
せっかく任意後見契約を結んでおいても、任意後見契約選任の申立てをしたときに、任意後見受任者に不適任な事由があると、家庭裁判所は任意後見監督人の選任の申立てを却下します。
つまり、任意後見監督人が選任されないため、任意後見契約の効力が生じない、という結果になってしまうのです。
では、任意後見受任者に不適任な事由がある場合とは、どのような場合でしょうか?
以下に説明します。
不適任な事由とは?
任意後見受任者に不適任な事由がある場合とは、任意後見受任者が、
① 未成年者
② 破産者で復権していない人
③ 成年後見人等を解任された人
④ 本人に対して訴訟を提起したことがある人又は訴訟を提起した人の配偶者・直系血族である人
⑤ 行方が分からない人
⑥ 不正な行為、著しい不行跡のある人、その他任意後見人の任務に適しない事由のある人
にあたる場合です。
任意後見人は、「他人の財産を管理する」という重い責任を負っています。
そのため、判断能力が未成熟な人や財産管理を適正に行えない人、後見される本人と信頼関係を築けない人などは不適任とされる、というわけです。
では、任意後見監督人になれる人は?
では、任意後見人を監督する立場にある、任意後見監督人になれる人はどのような人でしょうか?
任意後見監督人は、家庭裁判所が選任します。
任意後見監督人には弁護士、司法書士等の専門家が選ばれることが多いです。
が、実を言うと任意後見監督人になれる人にも特に資格は必要ありません。
任意後見人と同様、法人も任意後見監督人となることができます。
ちなみに、家庭裁判所は本人の意見には拘束されませんが、任意後見契約書には、任意後見監督人の選任について希望を書いておくこともできます。
ただし、職務の適性と実効性を確保するため、任意後見人の近親者である配偶者、親や子といった直系尊属、兄弟姉妹は任意後見監督人にすることができない、と法律で決められています(任意後見契約法第5条)。
この他、以下に述べる不適任事由がある人も任意後見監督人には選任されません。
任意後見監督人の不適任事由は?
不適任であるとして、任意後見監督人に選ばれない人は、
① 未成年者
② 破産者で復権していない人
③ 成年後見人等を解任された人
④ 本人に対して訴訟を提起したことがある人又は訴訟を提起した人の配偶者・直系血族である人
⑤ 行方が分からない人
です。
任意後見人と同じですね。
以上、今回は、任意後見人は法定後見と同様、専門家でないといけない思い込んでいる方もいらっしゃるなと気づいたため、任意後見人になれるについてご説明しました。
任意後見契約に置いて大切なのは、自分の財産を適正に管理してくれる人、また最後まで信頼関係を築ける人を任意後見の受任者として選ぶ、ということです。
この他、任意後見契約について疑問やご相談のある方は、いつでもお気軽にご相談ください。